ウィルスミスがアカデミー賞で司会者のクリスロックをビンタしたことが暴力問題になっています。
3月28日のアカデミー賞で、司会のクリスロックが、ウィルスミスの妻・ピンケット・スミスの脱毛症をイジったことに対し、ウィルスミスが激怒のビンタをしました。
しかしこの「ウィルスミスビンタ事件」はアカデミー賞制作団体の作戦通りだった可能性があります。
今回は「ウィルスミスビンタ事件」の背景を次の3点でご説明します。
- 昨年アカデミー賞は最低視聴率を更新
- 「差別発言」司会者で炎上狙いか
- アカデミー賞の作戦通り「ウィルスミスビンタ事件」が発生
昨年アカデミー賞は最低視聴率を更新

アカデミー賞の視聴率は低迷しています。
2021年には過去最低の985万人を記録しています。
これはアカデミー賞の歴代最高視聴者数5520万人(1998年)と比較すると82%減です。
米調査会社ニールセンの発表によると、授賞式の平均視聴者数はわずか985万人のみで、18歳から49歳はそのうち1.9%しかいなかったという悲惨な結果に。ハリウッドにとって、史上最低の数字だ。
https://realsound.jp/movie/2021/04/post-750934.html
以下、アカデミー賞の視聴率の推移です。
第93回(2021年)985万人
https://realsound.jp/movie/2021/04/post-750934.html
第92回(2020年)2,360万人
第91回(2019年)2,960万人
第90回(2018年)2,650万人
第89回(2017年)3,290万人
https://www.cinematoday.jp/news/N0114055
https://forbesjapan.com/articles/detail/15380
アカデミー賞は2020年までは2,000〜3,000万人で推移していましたが、
2021年に突然1,000万人を切る「非常事態」に陥りました。
アカデミー賞の視聴率低迷の理由
アカデミー賞の視聴率低迷の理由は、時代と逆行したアクセスの悪さにあるとされています。
近年は無料で、リアルタイムで動画視聴ができる環境が当たり前のようになっています。
アカデミー賞は特定の都市のみで、パートナシップのある有料TVプロバイダーに登録した後にのみ配信される仕組みになっているため、視聴までのハードルが高いのです。
全てアメリカの特定都市に住んでいることが前提であり、日本ではWOWOWであるように、各国で国ごとの有料チャンネルに加入しなければいけない。だからYouTubeではアカデミー賞放送中、常にライブ配信を装ったクリックベイト動画が多数登場し、アクセスを集めているのだ。
https://realsound.jp/movie/2021/04/post-750934.html
さらに番組演出の退屈さも理由に視聴率低迷の理由に挙げられていました。
NetflixやAmazonプライムなどのストリーミングサービスからでもコンテンツが観れる現代では、ウケないコンテンツは淘汰されていきます。
アカデミー賞も配信方法や番組演出の改革が必要なのかもしれません。
第93回アカデミー賞は、とくにその点でも多くの否定的な意見を受けている。例年通りノミネート者を映像クリップではなく、プレゼンターが口頭で紹介したり、賞の発表の合間の箸休めとなる(そして花形でもある)ライブパフォーマンスがなかったり。
https://realsound.jp/movie/2021/04/post-750934.html
「差別発言」司会者で炎上狙いか

そこでアカデミー賞制作団体が考えた打開策が差別発言で著名なクリスロックの司会者起用です。
クリスロックは過去にもアカデミー賞の司会をしていますが、そこで差別的発言をしています。
2016年の第88回アカデミー賞で司会を務めたクリスロックは3人のアジア系の子供たちとコントを披露。
アジア系は数学が得意だという人種差別的ジョークで問題になりました。
クリスロックはコントのオチとして次のようなコメントを残しています。
「あのジョークに腹を立てる人がいるなら、スマホでツイートすればいいだけだ。そのスマホを作ったのもあの子たちだがね」
https://www.tvgroove.com/news/article/ctg/1/nid/27381.html
当然ですがこれもアジアの児童労働に対する差別的発言だと批判されました。
アカデミー賞にも喧嘩を売ったことも
2020年の第92回アカデミー賞でも冒頭でステージに立ったクリスロック。
コメディアンのスティーヴ・マーティンとの掛け合いの中で、
アカデミー賞を運営する映画芸術科学アカデミーに対して「白人主義」や「多様性の低さ」を問題視する発言をしています。
スティーヴ:「この92年間でオスカーがどれだけ変わったか考えてごらん」
https://front-row.jp/_ct/17339337
クリス:「ああ、ずいぶんと変わったよね」
スティーヴ:「そう、1929年には演技賞での黒人のノミネートは1人もいなかったんだから」
クリス:「そして2020年になった今、1人ノミネートした」
アカデミー賞からしても「爆弾男」だったクリスロック。
しかしそのような状況でもクリスロックを司会者に起用したアカデミー賞。
アカデミー賞制作団体の本気度が伺えます。
クリスロックのプロフィール
生年月日 | 1965年2月7日(57歳) |
出生地 | アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 |
職業 | コメディアン、俳優、脚本家、映画プロデューサー、映画監督 |
クリス・ロックはアメリカ出身のコメディアンです。
他にも俳優。脚本家、プロデューサー、映画監督の顔があります。
米コメディ専門チャンネル“コメディ・セントラル”が選ぶスタンダップ・コメディアンベスト5位。
エミー賞3回、グラミー賞を3回受賞している実力派です。
アカデミー賞の作戦通り「ウィルスミスビンタ事件」が発生

そのクリスロックが、再びアカデミー賞で司会をしたのです。
クリスロックの爆弾発言はアカデミー賞制作団体も承知のはず。
思惑通り「問題発言」が出ただけに止まらず、ウィルスミスという大物俳優を巻き込む大事件に発展したのです。
司会のクリスロックが、ウィルスミスの妻・ピンケット・スミスの脱毛症をイジったことはお伝えしました。
ウィルスミスがビンタをするまでのいきさつはこうです。
- クリスロックが「『G.I.ジェーン2』が待ちきれない」というジョーク発言
- 「G.I.ジェーン」(1997年)は、主演の女優デミ・ムーアが丸刈りになったことが話題になった映画
- その丸刈りに脱毛症の妻が例えられたウィルスミスが怒りのビンタ
「ウィルスミスビンタ事件」は注目を集め、Yahoo!ニュースのランキング上位を独占しています。

まさにアカデミー賞制作団体の作戦通りです。
これにより多少なりとも視聴率が伸びたのは言うまでもありません。
「ウィルスミスビンタ事件」が話題になったアカデミー賞が、来年以降どのような「打開策」を打つのか期待しましょう。



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