いま炎上している乳がんポスターの製作者って誰?という方のために、製作者の写真・出身大学・過去の作品をまとめました。
製作者は大阪出身26歳のデザイナー、西畑那美さん。彼女のポスターデザインは「ピンクリボンフェスティバル」の第17回ピンクリボンデザイン大賞でグランプリに輝きました。
しかしその斬新なデザインから「モラルがない」などと炎上。デザイン大賞主催の日本対ガン協会が公式に謝罪を行う騒動に発展しています。がんで妻を亡くした落語家「柳家さん八」さんも「選んだ人が常識ないよね」と批判を表明しました。
炎上の乳がんポスターについて(第17回ピンクリボンデザイン大賞グランプリ)

日本対ガン協会主催、乳がんの予防・検診を推進する「ピンクリボンデザイン大賞」。この第17回グランプリに輝いたポスターデザインが波紋を呼んでいます。
そのデザインは福引のガラガラを回して「当たり」が出たというもの。乳がんと診断された瞬間を、福引が当たった瞬間の「まさか、私が」という感覚にたとえた作品になっています。
これに対しSNSでは「大当たりってどういうこと?」のような批判が殺到しています。
一方で「私はわかりやすくていいポスターだと思うけどな」という擁護する意見も見られます。
みなさんはどう考えますか?
第17回 ピンクリボンデザイン大賞
第17回 ピンクリボンデザイン大賞について確認しておきましょう。
募集内容
乳がんの早期発見の大切さを伝え、検診受診を呼びかけるとともに、正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す作品
参加資格
プロ・アマ不問
※応募者が未成年の場合は、必ず親権者の同意を得ること参加費無し
グランプリ賞金
50万円
審査員
●審査員長
中村 禎(コピーライター、クリエイティブディレクター〈フリーエージェント〉)
●審査員
内田喜基(株式会社cosmos アートディレクター)
国井美果(コピーライター〈フリーランス〉)
田中千絵(株式会社ストライプファクトリー デザイン制作・アートディレクター)
中村聖子(中村聖子株式会社 クリエイティブディレクター、コピーライター)
三井明子(株式会社ADKクリエイティブ・ワン コピーライター、クリエイティブディレクター)
炎上の乳がんポスター製作者、
西畑那美さんプロフィール

氏名 | 西畑 那美 |
年齢 | 26歳 |
所在地 | 大阪 |
出身大学 | 京都市立芸術大学 美術学部 ビジュアルデザイン専攻 |
過去受賞歴 | ・2014年祇園祭うちわデザイン大賞 ・2017年JR京都伊勢丹開店20周年記念ロゴマーク |
西畑那美さんグランプリ受賞コメント
第17回ピンクリボンデザイン大賞でグランプリ時のコメントを「ピンクリボンフェスティバル」公式HPより引用します。
Q1[受賞の知らせを聞いたときの気持ちを教えてください]
最初は驚きでグランプリという言葉も理解できず、電話口で固まってしまいました。数日かけ、夢ではないこと、自分の作ったものが多くの人に届くことを実感し、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。今でも「まさか、私が」と思ってしまいます。
Q2[受賞作品に込めた思いや制作意図を教えてください]
「まさか、私が」誰もが一度はそう思った経験があるのではないでしょうか。短いけれどぐっと刺さるその言葉を、見る人の身近なイメージや経験と結びつけ、よりハッとする表現をしたいと思いました。
何気なく参加した商店街の福引きで当たりが出た時の「まさか」という情景を思い描き、胸に見立てたガラガラ抽選器をデザインしました。何でもないような日常の中に「まさか」が隠れているかもしれないことを伝え、多くの人が乳がん検診を意識するきっかけになればと願っています。Q3[ピンクリボンデザイン大賞に応募したきっかけを教えてください]
数年前にデザイン大賞の受賞作品を見て関心を持ったことをきっかけに、乳がんについて調べ、詳しく知る機会を得ました。次は自分が発信する側となり、多くの人に同じような体験をして欲しい、という思いで昨年から応募を始めました。
Q4[受賞後に、ピンクリボンへの意識についての変化はありますか]
ピンクリボン運動について知り、関わっていく中で、以前よりも乳がんに対する情報が目に留まるようになりました。普段から意識できるようにするために、まずはピンクリボンについて、乳がんについて、「知る」という最初の一歩がとても大切なのだと感じています。
Q5[今後のピンクリボンデザイン大賞に応募される皆さんに一言お願いします]
自分が作ったデザインや言葉で、誰かを救うことができるかもしれない。とても希望に溢れたコンテストだということを改めて実感しました。そして今後も、たくさんの新しいアイデアが生まれていくことを考えるとワクワクします。応募することで、ピンクリボン運動をもっと盛り上げていきましょう。
https://www.pinkribbonfestival.jp/design_award_17/(第17回デザイン大賞受賞作品)
西畑那美さんの出身大学
西畑那美さんの出身大学は京都市立芸術大学です。学部・専攻は美術学部ビジュアルデザイン専攻。一番左が西畑さんです。
京都市立芸術大学の公式Twitterが8年前の2014年、西畑那美さんの写真を公開しています。

畑那美さんが大学1回生のとき、祇園祭で配布するうちわデザイン大賞で準グランプリに輝いています。
そのとき準グランプリに輝いたのがこちらのうちわのデザインです。「和」を感じさせる花と夜の祇園が描かれています。
JR京都伊勢丹ロゴマークに入選する実力者

西畑那美さんが大学4回生のとき、JR京都伊勢丹回転20周年記念として実施されたロゴマークデザインの公募にて入選を果たしています。
西畑那美さんの他にも5名の方が受賞しています。京都市立芸術大学の底力が伺えます。
コンサートのポスターデザインも手がける

2018年2月に行われた京都市立芸術大学音楽学部の生徒による新作発表演奏会。
このときのポスターデザインも西畑那美さんが手がけたものです。
「Birth of Music(音楽の誕生)」というコンセプトで、これまでなかった新たな音楽が生まれる瞬間を表現しています。
炎上の乳がんポスターは誰に責任がある?
ここまで西畑那美さんの作品を見てきましたが、結局この騒動は誰に責任があるのでしょうか。
私はピンクリボンフェスティバル運営委員会(日本対がん協会、朝日新聞社ほか)にあると考えています。
ピンクリボンフェスティバルは次のような目的で活動しています。
ピンクリボンフェスティバルは、2003年より朝日新聞社等とともに各地で乳がんの早期発見・適切な治療の大切さを伝える活動を続け、今年で19年目を迎えます。乳がんで命を落とす方が一人でも減らせるよう、乳がん検診受診率の向上を目指し、さらに、患者さんとそのまわりの人たちを支える活動にも取り組んでまいります!
https://www.pinkribbonfestival.jp/festival/
ここで注目したいのは乳がん検診率受診向上が第一、乳がん患者を支えることが第二となっていることです。
このことは「MY PINK ACTION 知ろう、自分と乳がんのこと。」というピンクリボンフェスティバルの新コンセプトにも現れています。
このコンセプトでは乳がん患者ではなく乳がん検診受診率向上にフォーカスされています。
今回の「第17回ピンクリボンデザイン大賞」も乳がん検診受診率向上のための活動の一環です。
「福引乳がんポスター」を見て、ポジティブ・ネガティブの違いはあれどもハッとしたりショッキングだった方も多いはず。
乳がん検診の話題性が高まったことや「ピンクリボン」の存在を世間にアピールできたことは、
ピンクリボンフェスティバルにとっては「成功」なのです。
これ自体は良いことでも悪いことでもなく、ピンクリボンフェスティバル活動の優先順位です。
しかしそれによる社会への影響などについては、乳がん患者に対するサポートを謳っている組織である限り知らないふりはできません。

一方、製作者の西畑那美さんは憲法21条「表現の自由」の中で、ピンクリボンデザイン大賞の募集要項に沿っていたデザインを製作したということになります。
このデザインについて賛否両論あるのは当然ですが、「このようなデザインは作ってはいけない」という意見は行き過ぎかと思います。
参考記事:「表現の自由」について憲法学者2人が語ったこと。どのような表現まで許される?
炎上の乳がんポスターは今後どうなる?

「第17回 ピンクリボンデザイン大賞」公式HPの募集要項を確認すると、グランプリに輝いた作品は交通広告等のポスターとして使用すると記載があります。
今後は街中で見ることもでてくるでしょうし、ますます話題になることは間違いですね。
以上!
若くして数々の受賞歴のある西畑那美さん。この炎上騒動によりさらに彼女の名前は有名になりそうです。
今後の活動に注目しましょう。